年番町
年番町(ねんばんちょう)
踊町をつとめて、4年後にくんち全般のお世話をする年番町を務めます。年番町はその年の祭事全般の段取を整え、また、御神輿のお供をします。
年番町は事情があって踊町としては出場出来ない町も参加するので踊町の項で示した町数より多くなります。
最近の年番町は次の通りです。(現在58町)
- 令和6年度(2024) <馬町、東浜町、八坂町、築町、銅座町、広馬場町、湊町>
- 令和7年度(2025) <樺島町、大黒町、東古川町、本古川町、出島町、小川町、紺屋町、伊勢町、八百屋町、炉粕町、恵美須町>
- 令和8年度(2026) <今博多町、魚の町、玉園町、江戸町、籠町、古町、勝山町、桜町>
- 令和9年度(2027) <桶屋町、船大工町、栄町、本石灰町、丸山町、万屋町、出来大工町、大井手町、八千代町>
- 令和10年度(2028) <興善町、八幡町、万才町、麹屋町、西浜町、五島町、銀屋町>
- 令和11年度(2029) <新橋町、諏訪町、新大工町、金屋町、榎津町、西古川町、賑町、磨屋町、本紙屋町>
- 令和12年度(2030) <上町、油屋町、元船町、今籠町、鍛冶屋町、筑後町、中町>
(八千代町の復活)
踊町を辞退せざるを得ない町でも年番町は務めるのが通例であるが、八千代町は事情により数回辞退していた。ところが、八千代町が属する神清会の熱心な働きかけにより、平成29年の年番町から復活が決まった。
(年番町[踊町]区域の変遷)
明治時代に入り、旧市内80か町のうち、数か町が再編になった(今紺屋町・中紺屋町→紺屋町、今鍛冶屋町・出来鍛冶屋町→鍛冶屋町など)。その補完という意味合いかもしれないが、浪平町(明治41年)、小曽根町(明治39年)など、現在年番町の区域でない町内が年番町を務めた記録がある。その証拠として、諏訪神社踊馬場下の祓戸神社脇の石塀寄付に町名が記されている。
※現在も梅ヶ崎町、廣馬場町、八千代町は、旧80か町外で年番町に参加。
年番町の行事
1 年番町の1年
年番町は例大祭の期間のみを務めるのではない。1年間を通じて奉仕するのである。以下に1年間の行事日程を記す(例大祭期間は後述)。
○毎月1日の清祓い参列(各町2名以上)
うち、1月、6月、10月は全町正装(紋付袴)にて参列。
9月は全町参列だが、洋服で可。
2月、3月、4月、5月、7月、8月、11月は年番町各町にて割当(洋装で可)。
12月は後述。
○小屋入り(6月1日)
拝殿右側の席にて、踊町の挨拶を受け、立ち会う。会長他1名にて正装で参加。
○打ち込み(6月1日)
町内に町事務所を構え、踊町の挨拶を受ける。町事務所には町旗を立て、出迎える。
○年番町打合せ会(1~2か月おき、5回程度開催)
「年番町奉仕諸事項」、清祓いの当番割当、奉納踊立合奉仕組割り、縦列供奉本役割当等、諸事項を協議の上決定する。
○諏訪神社御大祭三者協議会(2回程度開催)
諏訪神社、年番町、踊町の三者で構成され、大祭日程、食事、服装等の諸般事項や、踊馬場の運営についての申し合わせ等を決定する。
○新旧年番町・神輿守町・踊町の引継会(12月1日)
諏訪神社本殿において、12月月次祭に合わせて行われる。
このように、年番町の年は元旦から年の暮れまで神事のお世話を中心に従事するのであり、町の役員は多忙を極めるのである。
2 例大祭に関する日程
○本役の衣装受領(9月下旬:諏訪神社)
町役員が役柄毎に本役の子供とその保護者を同伴し、神職から着付けを習う。特に随人は着付けが難しいので、必ず行かなければならない(自宅での復習用のビデオも用意してある)。
なお、この機会に町内全部の衣装を受領するので、各町は 軽トラック等を手配しておき持ち帰る。
○榊の数、本役・飛入りの合計数の報告(9月30日:諏訪神社へ)
○事始め神事(10月1日 9時:諏訪神社 正装にて出仕)
○地鎮祭(10月2日 8時:お旅所 幹事町のみ正装にて出仕)
○氏子清祓い引き続き直会
(10月2日 10時。年番町は世話人のため9時に集合:諏訪神社正装にて出仕)
○供奉員清祓い終了後、従列人数揃 雨天順延・小雨決行(10月3日14時:諏訪神社)
供奉の本役・飛入りとも本番の衣装を身に着ける。役員・付添人は加勢ができるように平服で出仕する。小型町旗を先頭に、各町中庭に整列し清祓いを受けた後、本殿玉垣内を一周する。
拝殿下の階段で各町の記念撮影光景が見られるのもこの日である。また、社務所にて本役・飛入りのお守りを受領する。
○榊受領(10月6日 昼から:諏訪神社)
10月7日(前日:いずれも正装)
各戸は幔幕を張り、夜は御神燈を立てる。
・午前4時30分 諏訪神社集合
・午前5時 遷御祭
朝食後、お旅所踊場奉仕組はお旅所へ移動
・午前6時30分 諏訪神社踊場整理奉仕
・午前8時40分 お旅所踊場整理奉仕
・午後12時40分 お下り従列集合(集合場所は以下の通り)
諏訪神社供奉町(徽章 水色):馬町本通り影浦内科前
住吉神社供奉町(徽章 桃色):キリスト教会前
森崎神社供奉町(徽章 黄色):元市長公舎前
※御賽銭「ヘギ」を馬町某氏宅より各町5個受け取る。
・午後1時 発御
・午後2時過ぎ 旧長崎警察署角で本役・飛入り、一般役員は従列から離れ帰町へ
会長、仮宮奉仕者(1組)、ヘギ持参者は、お旅所へ
・午後2時40分頃 渡御御着祭(お旅所)
・午後2時40分 仮宮奉仕開始(1組)
・午後6時 仮宮奉仕交代(2組)
・午後11時 仮宮奉仕終了(来年の神輿守町へ引継)
10月8日(中日:いずれも正装)
各戸は幔幕を張り、夜は御神燈を立てる。
・午前8時 仮宮奉仕開始(1組)
・午前10時 例大祭(責任役員・常任総代・踊町・年番町・神輿守町の各会長)
※中央公園踊場招待(全踊町町事務所開設)については、会長代理を立てる。
・午前12時 仮宮奉仕交代(2組)
・午後6時 仮宮奉仕交代(2組)
・午後11時 仮宮奉仕終了(来年の神輿守町へ引継)
10月9日(後日:いずれも正装)
各戸は幔幕を張り、夜は御神燈を立てる。
・午前5時30分 お旅所集合
・午前6時 発御祭
本社踊場奉仕組は本社へ移動(本社で朝食)
・午前6時30分 お旅所踊場整理奉仕
・午前7時50分 諏訪神社踊場整理奉仕
・午前9時30分 仮宮奉仕開始(2組)
仮宮奉仕終了(神社側及び神輿守町と打合せの上、引継)
・午後12時40分 お上り従列集合(集合場所は元県庁前庭)
※御賽銭「ヘギ」を築町某氏宅より各町5個受け取る。
従列の先頭が中通り永石家具店前に到着したら休憩(銀屋町にて)
・午後3時前 伊勢町交差点角で本役・飛入り、一般役員は従列から離れ帰町へ
会長、ヘギ持参者は、諏訪神社本殿へ
・午後3時30分頃 本社御着遷御祭(諏訪神社)
○直会神事(10月13日:諏訪神社 平服にて出仕)
※正装とは、紋付、袴、白足袋、白緒草履、山高帽。
※当日の朝、雨若しくは雨模様の時は、会長は午前4時までに前日諏訪神社、後日お旅所へ集合(決行会議)。中日については幹事町他1か町が午前5時までに集合。
※ヘギの受取先には、9月に入ってから幹事町他2か町位で挨拶に廻る。くんち終了後も御礼に行く。
3 御大祭での役割
御大祭での年番町の役割は、「諏訪神社・お旅所での奉納踊踊馬場の運営奉仕」、「渡御における従列供奉」、「お旅所の警備」の3点である。
○奉納踊踊馬場の運営奉仕
「前日の諏訪神社・後日のお旅所」、「前日のお旅所・後日の諏訪神社」の2組に分かれて奉仕する。
諏訪神社では長坂に向かって右側、お旅所では正面が年番町の席である。
踊馬場では踊町の入退場の整理及び時間管理を行う。最近は踊町の持ち時間(各町30分)の厳守の取り決めがあるので、タイムキーパーの重要性が増している。
また、前日の諏訪神社では、年番町の幹事町が一番町の傘鉾の入場の合図を扇子を振りかざすことにより行う。これを「招き入れ」という。
更には雨天が予想される場合の奉納踊の決行会議にも参加し、協議を行う。
(コラム)
「前日のお旅所・後日の諏訪神社」の組になった町は、前日は会長がお下りに間に合わなければいけないので、お旅所の運営奉仕には代理を立てなければならない。また、後日は午前6時の発御祭終了後、直ちに諏訪神社の踊開始に間に合うよう、お旅所を出発する必要があり、
もう1つの組に比べて何かと大変である。
○渡御における従列供奉
いわゆるお下り、お上りの行列のお供である。
年番町は、3組に分かれて、諏訪、住吉、森崎の3体の御輿のお供をする。
町旗を先頭に、役員の後、本役、飛入り、その他役員の隊列である。
本役は正式なお供であり、随身、翳(さしは)、大太刀、小太刀、弓、旗、汐汲みの各役がある。
本役の衣装は、足袋、草履を除き、全て諏訪神社から支給される。
それに対して飛入りは町内の希望者によって構成され、衣装も自前である。いわゆるお稚児さんであるが、くんちでは稚児とは言わず、男子は矢五郎、女子は汐汲み(本役にもあるので留意)と呼ぶ。
○お旅所警備
お下りがお旅所に到着後から、お上りがお旅所を経つまで、年番町はお旅所に詰めて警備を行う。お旅所のお神輿の右側に正装(紋付袴)で着座しているのがそれである。
各町で2人一組の組を作り、2~3時間おきに交代するが、午後11時以降翌朝までは来年の神輿守町の役目となる。
参照
編集者(松尾・こじま)
このページは年番町に関する書きかけ原稿です。